トータルは「両チームの合計得点」が、事前に提示されたライン(例: 7.5点)を上回るか(オーバー)・下回るか(アンダー)を予想する形式です。勝敗予想が「どちらが勝つか」を当てるのに対し、トータルは「点が入る試合か・締まった試合か」だけを問います。勝者を当てる必要がない分、得点環境の分析がそのまま結果に直結するのが特徴です。
NPBの1試合あたり合計得点は概ね6.5〜7.5点に分布し、近年は投高傾向でやや低めです。ラインは小数(7.5など)で提示されることが多く、引き分け(プッシュ)を避ける設計になっています。
勝敗予想は「どちらが上か」という相対評価で、市場(オッズ)も人気・スター選手・最近の勢いを織り込んで効率的に値付けされています。一方トータルは、市場参加者が球団の「打線イメージ」に引っ張られやすいという歪みが残ります。
たとえば横浜DeNAや東京ヤクルトのような「打高球場×強打線」のイメージが強いチームの試合は、実際の先発投手が好調でも、ラインがオーバー寄りに膨らみがちです。AIは球団イメージではなくその日に投げる2人の先発と当日のブルペン状態を冷静に評価するため、ここに価値が残ります。
WINSportsAI v3.0は、両チームの期待得点を次の順序で積み上げます。最終的に「AI推定合計得点」を出し、提示ラインと比較します。
重要なのは順番です。先発の質を土台にして、球場・救援・天候で味付けする。土台が崩れていると、いくら球場補正を足しても精度は上がりません。
合計得点の最大の決定要因は、両チームの先発投手の質です。WINSportsAIはERAではなくFIP(守備の影響を除いた投手単独の失点能力)を土台に使います。FIPは運・守備に左右されにくく、翌試合の失点を予測する力がERAより安定しているためです(詳細は先発投手メトリクス完全ガイド)。
| 先発FIP水準 | 評価 | 6回想定許容点 | トータルへの寄与 |
|---|---|---|---|
| 2.50以下 | エース級 | 約1.67点 | アンダー方向に強く効く |
| 2.50〜3.30 | 好投手 | 約1.7〜2.2点 | ややアンダー寄り |
| 3.30〜4.00 | 平均 | 約2.2〜2.7点 | 中立 |
| 4.00以上 | 不安 | 約2.7点超 | オーバー方向に効く |
先発の基礎失点に、その日の球場のパークファクター(PF)を掛けます。バンテリンドーム(得点PF0.82)なら点が入りにくく、ベルーナドーム(PF1.12)なら入りやすい。詳細な全12球場データはNPB12球場パークファクター完全解説を参照してください。
| 球場 | 得点PF | 同じ先発でのトータル傾向 |
|---|---|---|
| バンテリンドーム | 0.82 | アンダー強 |
| 甲子園 | 0.85 | アンダー |
| PayPayドーム | 0.98 | 中立 |
| 東京ドーム | 1.05 | ややオーバー |
| 横浜スタジアム | 1.08 | オーバー |
| ベルーナドーム | 1.12 | オーバー強 |
NPBの試合は先発が6回前後、残り3回をブルペンが投げます。この終盤3回の失点はトータルの結果を左右しやすく、特に連投・前日大量投球で疲労した救援陣がいる試合はオーバー方向に振れます(詳細はブルペン疲労度の影響)。
屋外球場では当日の気温・風がトータルに無視できない影響を与えます。高温日は空気密度が下がり打球が伸びるため、得点が増えます。ドーム球場(東京・バンテリン・京セラ・PayPay・ベルーナ※開放型を除く)ではこの変数を無効化します。
| 条件 | 合計得点への影響 | O/U傾向 |
|---|---|---|
| 真夏ナイター(30℃超・無風) | +0.4〜0.6点 | オーバー |
| 外野への追い風(横浜・神宮) | +0.2〜0.4点 | オーバー |
| 低温・小雨(15℃以下) | −0.3〜0.5点 | アンダー |
| 甲子園の強い浜風 | −0.2〜0.4点 | アンダー |
| ドーム球場 | 影響なし | PF通り |
4ステップで算出した「AI推定合計得点」を、市場の提示ライン(7.5点など)と比較します。差が大きいほど、そして自分の推定の信頼度が高いほど、価値があります。
実例で組み立ててみます。
| 項目 | 値 | 計算 |
|---|---|---|
| 両先発FIP合計 | 5.4(好投手×2) | 基礎合計 ≈ 6.4点 |
| 球場 | 甲子園(PF0.85) | 6.4 × 0.85 ≈ 5.44点 |
| ブルペン | 両軍休養十分(−0.4) | 5.04点 |
| 気温・風 | 浜風(−0.3) | 4.74点 |
| AI推定合計 | 約4.7点 | — |
| 提示ライン | 6.5点 | エッジ −1.8点 |
| 判定 | アンダーに強い価値 | 市場が打線イメージで過大評価 |
「ヤクルト・DeNAの試合は点が入る」という固定観念は、その日の先発が誰かを無視しています。打高球場でも両先発がエース級ならアンダーが普通に来ます。市場も同じ罠にはまるため、むしろアンダー側に価値が残ります。
先発が good でも、勝ちパターンの中継ぎが3連投で疲弊していれば終盤に失点が集中します。トータルは9イニング全体の合計。先発6回+ブルペン3回の両方を読む必要があります。
屋外球場は試合直前の気温・風で±0.5点以上動きます。ラインを取る前に当日の天候を確認しないと、せっかくのエッジが天候で消える(または逆転する)ことがあります。ドーム/屋外の区別は最初にチェックしましょう。
両チームの合計得点が提示ライン(例:7.5点)を上回るか(オーバー)・下回るか(アンダー)を予想する形式です。勝敗とは独立した軸で、球場・先発・気温・ブルペンの得点環境がそのまま反映されます。NPBの平均合計得点は概ね6.5〜7.5点です。
先発投手2人の質(FIP/被OPS)が最大要因で、合計得点の分散の約4〜5割を説明します。次にパークファクター、ブルペン疲労、気温・風が続きます。WINSportsAI v3.0は先発FIP→PF→ブルペン→気温の順で積み上げます。
高温日は打球が伸びやすく、屋外球場では気温+5℃あたり合計得点+0.15〜0.25点ほど押し上げます。真夏ナイターの打高球場はオーバー寄り、低温・雨天の屋外はアンダー寄り。ドーム球場では気温変数を無効化します。
両先発FIP3.00以下、投手有利球場(バンテリン0.82・甲子園0.85)、両軍ブルペン休養十分、低温・無風の屋外、が重なるとアンダーのEVが高まります。市場が打線イメージでオーバーに偏った試合は特に狙い目です。